メッセージ

母子愛育会総合母子保健センター 所長中林 正雄

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 最近、私の心に響いた出産育児に関する言葉を紹介して、私のメッセージとさせていただきます。
“子どものときに心の池が満たされると、生涯涸れることのない泉になるでしょう”。たくさんの愛情に満たされた子どもは自己肯定感を持ち、安定した性格の子どもに育つといわれています。両親のみならず、周囲の人々の暖かさが赤ちゃんには必要なのです。ヒトは一人で子育てをするのではなく、集団で子育てをしてこれまで生存してきたわけですから、未来のお母さんは周囲の協力を受けながら、自信をもって妊娠・出産そして育児に臨んで下さい。
“生を受けてからの初めての1,000日間を大切にしましょう”。これはWHO(世界保健機構)からの最近の呼びかけです。ヒトは胎児としてお母さんの子宮内で270日間を過ごし、その後の2年間(365日×2年=730日)の合計1,000日間が子どもの健全な成長・発達に大切であるというメッセージです。
 妊娠期から乳幼児期は子どもの将来の健康に大きな影響を与えることが多くの研究で分かってきています(成人病胎児期発症説)。お母さんが妊娠期から子育て期まで健康な生活を送り、ゆったりとした気持ちで赤ちゃんに接することが、日本の未来を担う子どもたちにとって大切なことなのです。
 2018(平成30)年は日本で母子手帳が誕生して70年になりました。今では世界中の40ヵ国以上で母子手帳が普及しています。昨年(2018年12月)、タイ王国バンコク市で母子手帳国際会議が保健省の主催で開催されました。市内の施設見学で印象的だったのは、母乳育児、離乳食のすすめ方、子どもへの本の読み聞かせなど、子育て支援の施設がとても多かったことです。同行した行政官の説明で、“タイの妊娠・出産・育児の社会環境は20年遅れで日本の後を追っています。しかし、子どもは国の宝なので、日本のような少子化にならないように子育て支援に国を挙げて取り組んでいます”。という言葉に感銘を受けました。私達医療関係者は未来のお母さんが安心して妊娠・出産・子育てが出来るような社会環境の整備に尽力しなければと改めて教えられました。

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