安心して子供を生み育てられるような日本社会を作りましょう。
「ひまわりの会」は「花」によって人々の心を癒し、「花を贈りあう」ことによって人々の心を繋げようという目的で1997年岐阜県において設立されたと聞いています。
わが国は、妊産婦死亡率、周産期死亡率、乳幼児死亡率を見ましても世界トップクラスの質の高い周産期医療を提供しています。しかしながら現在、少子高齢化の真っただ中であり、妊娠・出産育児をしやすい社会環境の構築が必要であります。「仕事と家庭の両立支援」として産業界や保育行政・労働行政が一体となって取り組む必要があります。例えば、「子どもの急病看護休暇の制度化」、「病児保育」、「乳幼児健康支援一時預かり事業」、「育児保障制度の充実」、「産休の延長」等々が必要です。少しずつ改善されつつあるとは言え、少子化を克服している諸外国に学ぶ必要があります。母子保健法を改正し子育て世代包括支援センターが平成32年度末までに設置されました。安心して子どもを産み育てる環境を整備することを狙いとする法律(成育基本法)が2018年12月8日に成立ました。また、子ども家庭庁が2023年に設置され、さらに出産育児をしやすい環境ができていくと思われます。
しかし、現状は、妊産婦の自殺が毎年80例ほどあり、児童相談所における児童虐待相談対応件数も毎年増加の一方で、2020年度は20万件を突破しました。“こどもは国の宝”、出産した子ども達が等しく健康に幸せに育って欲しいものであり、このような現状は大変由々しきことであります。
本産婦人科医会は2016年に周産期メンタルヘルスプロジェクトを立上げ、全国の産科医療機関で妊産婦のメンタルヘルスのスクリーニングとケアを行う体制づくりを構築しました。そのための教育・研修システム(入門編、基礎編、応用編の教育プログラム)の作成と、これを普及させるための研修会および地域で実践していく人材育成を目的とした指導者講習会を開催し、啓発用の資料(ビデオ)も作成し提供しています。小児・思春期からヤングアダルト(AYA)世代へと成育する女性のライフステージごとのヘルスケア、妊娠前のヘルスケア(プレコンセプションケア)、不妊医療体制の充実、周産期医療体制の充実について切れ目ない支援を通して次世代に健康を引き継ぐことを関係専門職等と連携して推進していきます。
私たち産婦人科医は、日本の未来を担う子供たち、出産育児を控えたお母さんと家族に寄り添い、安心して子供を生み育てられるような日本社会を作るために、努力していきます。
|